【受験鍼灸】「学校を休みたい」にNOを伝えた理由

大学受験を目指す高校生たち。先月の体調不良を立て直したかな?と思いきや、予想外の展開だらけでした。

思うような展開がない時は、「我が家だけが特殊ケースかも」と悩みがちです。そこで今回は、我が家の話をお届けします(内容は一部加工)。11月は、学年関係なく学校を休みたい子どもたちが増える時期です。大人だって悩みます。鍼灸マッサージの身体の反応をきっかけに、本気で話し合いました。これが正解ではなく、一つの物語として、お読みください。

目次

「寝られない・鼻水で喉が痛い。ケアしてほしい」

本音を言うと、自分の子どものケアは難しいです。。我が家の高3キッズは、仕事への自信を根こそぎ奪うほど、ケアが全く効かない時期がありました。生まれた時から寝ない子で、私がベビーマッサージを全く信用しなくなりました。ここ数年は思春期ということもあって、ケアは年に数回だけでした。

それが、今年は50回近く。(※仕事の時とは違って、ほとんどが30分ほどです)。怪我やら病気やら勉強後のケアやらと、私も勉強になっています。

この日は、メンタルがしんどいからケアして欲しいと。その割に訴えてきたのが「寝られない。しんどい。鼻水が止まらなくて、後鼻漏で喉が痛い」でした。

いつものように見立てを作り、何が起きているのか推測することにしました。


その日は、ここ最近のパターンと違いました

脈は興奮していて、お腹は肋骨の下から下腹部までが硬い。ソケイ部も強く張っていました。

身体もいつもより改善しません。最近は針を打つと、すうっと寝ています。その日は寝られず、お灸への反応も鈍い。自覚通りにしんどそうでした。

この身体に何が起きていたのでしょうか。

受験勉強の疲れかな?と思いました。それもありそうでした。

ですが注目したのは感情による消耗が大きそうだった点。とりわけ怒りと不安/恐れに、身体が影響を受けていそうでした。

感情が体調を支配している?

最近の私の口グセは、「私は心の専門家ではない」です。身体の一部としてみていて、心と感情の違いは専門的には理解できていません。

鍼灸マッサージ師からみる感情は、心とはちょっと違います。

東洋医学は、病の原因を大きく3つに分類しています。わかりやすく言い換えると、感情(内因)と環境(外因)と生活習慣(不内外因)です。※専門的には違います

見立てで感情をキャッチした時は、その感情に身体がすごく影響を受けている時です。

皆さん、こんな経験はありませんか?

怒りが止まらない、不安で寝られない、同じことをずっと考える、喜びのあまりに興奮が収まらない、など、感情の抑えが効かない。ありますよね。

感情にいっとき影響を受けているくらいなら、ごく自然だと思います。誰にだって起きています。見立てて取り上げるのは、上に書いたような状況が、数日以上続いて、その感情の影響を受けている時と推測しています。

これ、ちょっと不思議じゃありません?

「寝ても覚めてもその感情に振り回されるって、本当にあるの?」って。

私たちは朝起きて寝るまで、家事や勉強や仕事、育児、などやることがたくさんありますよね。気分転換もします。SNSや動画で推し情報を追ったり、ゲームしたり。いろんな感情で忙しいならわかるけど、その感情に影響され続けるって、どんな時なのだろう?と。

今回、少しわかった気がしました。

高3キッズの話を聞くうちに、本人が自覚していなかった怒りと不安が、言葉になって現れてきました。

言葉が止まらない

それはケア後の会話で始まりました。「明日学校を休んでいい?」と。

子は、3日後に模試を控えていました。明日と明後日は学校を休んで、模試の翌日も休みたい、と。

こういう発言には基本的にYESで対応しています。でもその日は、私がすごく違和感を感じたのです。

私の価値観が変わったのか、子の伝え方がいつもと違ったのか、客観的には見れませんが、何かが違った。

悩んだ末、私はNOと伝えました。明日は学校に行きなさい。明後日も。模試翌日も、行きなさい。と。


そこからは子どもの言葉が止まりませんでした。95%が怒りに満ちた不満と文句でした。

友達のことや学校のルール、先生の言葉への不満が、堰を切ったようにあふれてきました。ああ、この子の身体は今、感情にすごく揺さぶられているんだな、と私が体感しました。こういう状況の身体の感情を私はこれまでキャッチしていたのだと、とても勉強になりました。

それはスランプ

その後も話が続きます。

あったのは全方位への怒り。興奮。自分を守りたい必死さを感じ取りつつも、親子ですから冷静じゃいられません。こっちもバトル(それ以上は書けないぜ)でした。

ただ一方で、「これは受験勉強のスランプで起きたな」と考えてもいました。

成績の結果と、心身の状態とが共に膠着していて、必死にあがいているから感情に振り回されているのだ、と。

受験に無関係なようで、今まさに受験生だからこそ抱えている悩みがあって、その思い通りにならない状況で感情が止まらなくなっているのでは?

その仮説を話したところ、再び言葉が出てきました。

実力が足りていないからもっと自分を追い込みたい。それを理解してくれる環境にいない気がする。

精神的に焦った時の立て直しが、特に大変。メンタルが弱いことを克服したいけど思いつかないから、実力をつけたい。

「とにかく自分に自信がない。周りに振り回されたくないから、学校を休みたい」と。まさに抱えていた葛藤と焦りと不安でした。

「休みたい」にNOを言った理由

改めて発言を整理すると、私は、子どもの苦しみをこんな構造で受け取りました。

爽やかに理解したわけじゃないです。

「イライラをたしなめたり、学校を休みたいにYESを伝えるよりも、もっと深い気持ちに目を向けよう。その方が子どもの本当の悩みに対応できる気がする。」そう思った私は、再び子どもと話すことにしました。


治療開始からこの時点までで、6時間以上(夕飯をはさんでいます)。ふて寝しかけた子が寝る部屋に行って、話を続けました。

その言葉を聞いて、急激に大人しくなった

怒りは私にも向けられました。

「お母さんはこの苦しみをわかってくれない。結局何を言っても無駄なんだ。自分が願うことは何も叶わないんだ。小さい頃からずっとそうだった。」と。

スランプ受験生(突然ピッタリなネーミングを思いつく)、人生の壮大な棚卸しが始まりました。ここまで言ってきたのは、生まれて初めてじゃないかと言うほどでした。

お恥ずかしい話、今までの私なら逆ギレで言い返しました。言い負かしていたと思います。

でも今回は、言い分を受け止めて話をしました。とにかくNOだと。


NOと言っているにも関わらず、スランプ受験生の態度が変わってきたのがわかりました。

その変化に私も賭けてみたのです。

「ひとつ言うね(←すでに十分喧嘩している)まずさ、その子に謝ろう。言わなくてもいい。心の中だけででも。」

何と言うことでしょう。全身の毛が逆立つような怒りが、急激に弱まっていきました

さらに追い討ちで伝えました。
「あとさ、先生にもごめんだよ。その態度は違うわ。」

態度がさらに軟化しました。

その後ブツクサと1人で想定問答を繰り広げていまして、この日初めて「そうだね」と反発以外の言葉が出てきました。

その後

深夜まで話が及んだので、翌日は学校を遅刻か休むと思っていましたが、、いつもの時間に出かけました。

模試の次の日は学校から帰宅後にケアをリクエスト。疲れてはいましたが、頭の消耗が減っていたのです。この変化には私もびっくりしました。



改めて受験鍼灸マッサージは、いったい何を提供する時間なのだろうと考えました。

いい成績を残すためのサポートではないし、緊張が続く中で体調を上げることも相当に難しいです。

願わくば、受験を通して何かしらの成長が起きると嬉しい。たとえそれが何年後にわかることだとしてもです。

受験鍼灸マッサージは、他の学年のキッズケアと同じことをしています。状況に合わせて、身体を受験生活にマッチングさせたり、生活リズムの見直しを提案しています。

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