今週から首都圏は受験ラッシュ。受験生の中には、数日おきに受験を続ける子もいます。
この時期の保護者は、子どもの体調には敏感になりがちです。そこで今回は、これまで数年間の受験生対応をふりかえりました。
子どもたちが訴える不調
子どもたちからは、こんな不調を聞きました。
- 肩こり(あごもしんどい)
- 腰の痛み
- 手の汗(解答用紙がぬれてしまう)
- 胃の痛み(重い〜鋭い)
- 下痢・腹痛
- 生理痛・月経前困難症
- 頭重感
- 鼻詰まり
- 花粉症
- 風邪の倦怠感・せき
施術では何をしているか
受験生に限らず、大事な予定の前の身体は緊張が強くなります。
その緊張を適度にゆるめながら、症状を軽くして、受験に精一杯向き合えるように整えます。
ただし、この時期ならではのゴール設定があります。スケジュールに合わせて、完全にはゆるめません。適度な緊張を残して整えています。
改善しきらない症状
鍼灸マッサージ師は、医師ではないので、診断はできません。
ここでは、その日のケアとして優先させたものと、それ以外の症状とをどうふるいわけしたかを書いています。これらは、少なくとも数ヶ月ケアし続けて、「いつもと違う症状」か「以前からあった症状」かを総合的に判断しているものです。
当たり前のことですけど、どんな子でも緊張しています。体調は崩しやすいです。
もともと弱いところに症状が出やすいし、筋肉も硬くなりやすい。自律神経も、興奮状態がなかなか落ち着きません。
- 肩こり
- 腰痛
- 手汗
これらの症状は、試験が終わるまでは改善しきりません。
でも深追い(スッキリなくなるまでケアすること)もしません。
ゆるめてもすぐに硬くなりやすいためと、緩め過ぎると疲れが出やすくなるためです。
改善しきらない症状ですが、改善しなくてもいい(終わるまでは付き合うと思った方がいい)ものでもあります。
こんな症状は早めの受診を
以前から抱えている症状は、通常通りの受診をおすすめしています。
- 胃の痛み
- 下痢・腹痛
これらは緊張から悪化しやすい症状です。試験が続く限りは抱えやすいのですが、スケジュールが許す場合は、早めの病院受診をご案内しています。
大きな病気が隠れていないかを調べることはこの時期でも欠かせないですし、薬を持っておくと安心感も増すようです。実際に受診すると医師から「大丈夫だよ」と言ってもらえて、精神的な負担が軽くなったケースもありました。
鍼灸マッサージでは、色々ある症状の一つとして、優先順位をつけながら他の症状とまとめて対応しています。セルフケア方法も一緒に探していますし、試験会場での対策も考えます。
風邪を引いた後は施術がおすすめ
風邪後の身体ケアは、鍼灸マッサージの得意分野の一つです。※感染症対策のため、現在は施術を受けるご本人だけでなく、ご家族が発熱した場合も一報をいただいています。
先日「風邪を引いたので、施術をキャンセルしようかと思います」と、受験生から連絡が来ました。
発熱はなく、頭重感と鼻詰まりと喉の違和感が主な症状とのこと。
ふだんは「キャンセルしたい」は、引き留めません。ですが今回は、症状を詳しく聞いた後に「ぜひケアさせてください」と伝えました。
身体に熱がこもっている状態が、施術のとちゅうから汗をかいて、症状が変わり始めました。
施術当日はしっかりと寝て、翌日から勉強に復帰したそうです。
当院では、風邪を引いた場合は、他にどのような症状があっても風邪のケアを最優先としています。タイミングも重要ですので、発症時期や症状を事前に確認しています。
緊張は悪いことじゃない
受験中や直前の緊張は、体調に影響が出やすいのは確かです。でも、緊張は決して悪いことじゃありません。
限られた時間に全力が尽くせるように、身体も少しずつ準備をしています。集中すると身体を固めるので、どうしても緊張が続きます。
そんな時に身体をゆるめすぎると、溜め込んだ疲れがどっと出てしまいます。集中力が続くためにも、刺激量のさじ加減は、とても大切です。
その代わり、受験が終わった後や受験と受験の間が空いた場合などの適切なタイミングで、一度しっかり回復を狙います。これは新生活に入ってから、燃え尽きたような疲労感が起きるリスクを回避するためです。受験が終わった後は、開放感でリセットできるようで、緊張は簡単にはゆるみません。
時間がかかる症状
このように、直前や受験中は、スケジュールを把握しながら身体の調整をしています。とにかくできることを探して対応するのが、当院のモットーです。
一方で、折り合いをつけるのに数ヶ月時間が必要な症状もありました。
来年以降の受験生とその保護者の方は、ぜひ参考にしてください。
例えば生理痛が重い子は、まず婦人科でチェックしてもらい、低用量ピルの服用が選択肢に入ってきます。
低用量ピルは、生理痛を和らげて、子宮や卵巣の負担を長期的に減らす作用があるので、痛み以外にも女性を守ってくれる薬です。
ですが体調が安定しない時期も出てくるかもしれません。受験直前で身体に不安感を持たないためには、遅くとも数ヶ月前までには産婦人科に相談した方がいいでしょう。
鍼灸マッサージでは、体調が安定するまでのサポートをすることができます。また東洋医学の考え方で「瘀血(おけつ。冷えに近い概念です)」へのケアをします。
薬がどうしても使えない場合や使いたくない場合、痛みや症状を我慢しないためにご利用ください。
生活リズムも、期間と回数がかかります。
起立性調節障害や過敏性腸症候群などは、直前だけのケアはおすすめしていません。
これは人生という長い目線で受験期間を見ての判断です。仮に短期間の結果にとらわれると、合否とは無関係に、大事な予定の前に体調を崩すパターンが定着しやすくなります。
緊張と体調を切り離せていけるように支えるには、身体に時間をかけて「大丈夫だよ」を体感し、自分で出来る対策を増やすことがおすすめです。
その試行錯誤には十分な時間をかけてあげたほうが、長期的にはお得です。
いかがでしたか。
今回記事にできませんでしたが、受験鍼灸では身体の不調以外の悩みにも関わってきました。
その経験から言えるのは、子どもが自分の感性を素直に出せる時間がすごく必要だということと、出来る限り小さい頃から育てた方が、気持ちだけでなく、身体との折り合いがつきやすいということです。
おそかれ早かれ受験に取り組む保護者の方が、鍼灸マッサージも受験サポートのひとつとして考えてくださることを願っております。